東和銀行(本店・前橋市)が県内の高校・大学と企業との間を橋渡しし、新たな商品を開発・販売する取り組みを続けている。中小企業の支援や学校の活性化につながると期待されている。

 東和銀行と学校のつながりができたのは2018年。同行の顧客団体が主催する異業種交流の商談会に勢多農林高(前橋市)など3校が参加したことがきっかけだった。その後同行は、高校生のユニークな発想と商品を製造する中小企業をマッチングさせることで新たなビジネス機会の創出につながると考え、取り組んできた。

 最初に商品化したのは21年で、勢多農林高の生徒たちが発案し、前橋市の「Sweet Baum」が製造した「焼きまんじゅうバウムクーヘン」。

 次の群馬大研究室発のベンチャー企業が作った入浴剤は製造もベンチャー企業自身だったが、販売先への橋渡しをした。

 22年には、特産品の枝豆とメンチカツをミックスさせた商品「えだまメンチ」を作っていた利根実業高(沼田市)とみなかみ町の「ジャック・ザ・タルトファンタジー」の間を取り持ち、「えだまめチーズタルト」の商品化にこぎつけた。

 今年4月に商品化したのは、吾妻中央高(中之条町)とジャック・ザ・タルトファンタジーが作った「リンゴチーズタルト」。同校は学校でリンゴを栽培しているが、どうしても出荷に至らない分が出てくる。食品ロスを減らしたいと考えていたことから、有効利用できることにもなった。

 この間、高校側の関わり方も変わってきた。最初はアイデアを出してもらっただけだったが、利根実業高のケースでは生徒と企業が意見交換しながら商品コンセプトを固めた。吾妻中央高のケースでは、製造過程で生徒たちがリンゴの皮むき作業を手伝った。

 商品は、取扱店舗が限られるものもあるが、県内のファミリーマートで買うことができる。販売面で最初から協力してくれ、吾妻中央高とのコラボを提案したのもファミリーマートだ。

 東和銀行リレーションシップバンキング推進部の服部政博・副部長は「学校の活性化や食品産業の活力向上、地域貢献につながることを期待したい」と話す。

 現在もマッチングによる商品開発は進行中。今月中にも、大学と事業者が組んだ飲み物、高校とお茶の生産組合が組んだスイーツを新商品として発表する予定。(大塚晶)

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